愛知支部からのお知らせ
講習に使われている小型貫流ボイラーの性能検査を受けました。
缶内部の底部分を見せて頂きました。講習以外では使用してませんが
錆が所々に見えます。
今年度も無事性能検査に合格して、受講生の受け入れ準備が整いました。
皆様の受講をお待ちしております。
検査事務所便り
性能検査時における事例紹介⑨
(ノモグラフを利用したボイラ排ガス熱損失、省エネ検討について)
ボイラーの性能検査に行き、伝熱面(炉、炉筒、管板、水管、煙管、節炭器、空気予熱器等)に煤付着を見ることがありますが、ボイラー効率の低下、燃料代のアップ、CO2排出量のアップに繋がります。ノモグラフを利用した省エネ効果について検討しましたので、日常運転の参考としてください。
省エネより見た煤付着による排ガス熱損失
ボイラーの伝熱面に付着した煤は熱伝導率が0.07W/m.K(鋼材の1/500)と小さく、伝熱面の熱伝達を悪くすることにより、煤付着による熱交換ロスでボイラー出口排ガス温度が約20℃アップし、排ガス熱損失を約1%大きくします。このためボイラー効率を約1%下げますし、燃料代でも同様約1%アップさせることになります。従って省エネ、CO2削減から見れば、煤付着により正常の排ガス温度より温度が上がることは早期に避け、煤清掃、空気比調整で正常排ガス温度に戻すことが望ましい訳です。
さらに、排ガス熱損失を少なくするためには、可能な限り空気比は下げる方が良いのです。(この際、発煙、不完全燃焼の無いことをチェックすることが必要です。又、空気比を下げる為に燃焼改善が必要な場合も有ります。)バーナ特性にもよりますが通常空気比は約1.2で、この空気比を算出するには排ガス中の残存O2濃度をO2メータで計測します。(不完全燃焼のチェックはCOメータで計測します。)空気比が過剰な状態での運転は早目に避ける方が省エネに繋がります。空気比を0.1下げると排ガス熱損失約1%下がります。(添付日本ボイラ協会発行:ボイラーの省エネルギーのためのノモグラフ集よりのノモグラフ参照)又、季節により外気温度が変化し、空気密度も変わるため、通風力、送風量が変わり空気比も若干変化しますので、可能な限りこまめな調整が望ましくなります。ボイラーに煤を付着した状態で運転を続けるとボイラーの抵抗が増し空気比の低下、発煙の悪循環ともなります。通常ボイラーの性能検査で炉内、煙管、水管、節炭器等の清掃、燃焼チェックメンテとなりますが(1回/年)、出来れば2回/年、こまめな調整が望ましいといえます。ボイラー出口に排ガス温度計を付ければ、ボイラーの同負荷での排ガス温度が通常よりアップするか否かにより、炉内、煙管、水管等に煤付着した監視ができ、メンテの目安とすることができます。清掃、調整の効果が重要であることをご理解ください。
(写真は、燃焼室に煤が付着した例)
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