検査事務所便り


新年のご挨拶

(一社)日本ボイラ協会中部検査事務所

 所長 小 森 英 樹

 

 

 

新年明けましておめでとうございます。
 愛知支部会員の皆様には、検査・検定業務をはじめとして、何かとご支援ご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 愛知県内での検査対象のボイラー及び第一種圧力容器に関して、昨年においても、幸いにも大きな事故も無く、検査・検定業務を順調に追行できましたことは、皆様方のお蔭と感謝申し上げる次第です。

昨年を振り返りますと、日本の経済については円安水準が続きましたが、2025年は米国の状況が気になるところであり見通し難い状況であります。原材料のコスト上昇にともない物価が上昇し、我々の家計にも大きな影響を及ぼしました。当協会においても、検査・検定数の減少による収入減に加えて、物価上昇にともなう支出が増加し厳しい状況が続いているため、検査検定料金の見直しを考えているところです。

 

また、協会全体で検査員の高齢化が進み、60歳以上の転倒による骨折、つまずき、滑り等の労働災害が増加しており、注意喚起、再発防止等に力を入れているところです。検査現場での皆様のご協力もよろしくお願いいたします。
 いかなる状況であれ、企業で働く方々の安全を確保することは当然で、極めて重要であると認識し、私どもボイラー・圧力容器を検査するものは、その仕事を通じて、これに応えていかなければならないと肝に銘じて、皆様の信頼を得るよう、日々、検査業務を誠実にこなしていくよう努めてまいりたいと考えています。
 最後になりましたが、本年が会員の皆様方にとって、よき年でありますようご祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

※中部検査事務所職員名は、「検査事務所職員名簿」ページをご覧ください。


性能検査時の体験

 第一種圧力容器は、内部に危険、有害な液体を保有するものも多く、冷却、換気が十分に行われているか気を付けて性能検査を実施しています。

今回は、最近の性能検査時に体験した事例を紹介します。

 

【事例】

 第一種圧力容器(反応器)数基の性能検査時、入槽前に安全確認(酸欠確認)を実施して数基検査を実施していた。(酸欠の確認は事業場側の酸欠測定器でマンホールより測定し、異常がない事を確認して入槽・検査を実施)

 数基検査を実施し、次の容器も異常がないと思っていたところ、酸欠測定器が異常を示した(酸素15.2%)。

 

 

(原因)本容器は運転停止後、窒素でパージ(ガス置換)を行っているため、点検時等の入槽は事前に押し込みファンにて空気置換を行っていた。空気置換用チューブをマンホールから挿入する際、蓋で押し当てて固定していたため、チューブがつぶされて空気置換不足となっていた。

(対策)空気置換方法(空気置換用チューブの挿入方法等)の見直し。更に、労働者その他関係者の酸素欠乏危険場所の危険性に対する認識の向上を図る。

 私たち検査員も検査業務において、検査を行う場所及びその周辺についての確認等をさらに強化し、常に安全な検査・検定を目指して労働災害防止に取り組んでいきたいと思います。